ミルクドクターベータ 寒冷地での使用上の注意
冬期並びに低外気温 (10℃以下〜−10℃) 環境でのミルクドクター使用推奨法
発泡スチロールを用いた簡易インキュベーターの効果について
ミルクドクターシリーズはイムノクロマトの原理(妊娠検査薬等)を応用した簡易・迅速検査キットです。しかし、寒冷地、冬期、外気温が10℃以下(但し−10℃まで)等での外気温環境では、キットの判定線が正しく出現せず、結果判定に大きな影響を及ぼします。しかしながら、安価なツールを使用することで、上記環境下での検査は可能です。その例を紹介させて頂きます。
必要資材
- 簡易インキュベーター
- 市販の発泡スチロール(100円均一ショップ等での販売品、内部サイズ、200×145×135mm、内容量3.5L)
- 加温剤
- マグカップに入れたお湯(70〜80℃)
試験温度
4〜6℃ 、−10℃、−20℃
- 給湯器からのお湯(70〜80℃)をマグカップに約200mL入れます。
- 発泡スチロール内の角にお湯の入ったマグカップを置きます。
- 発泡スチロールの蓋をしめ、3〜5分待つ。この間に、ミルクキット測定の準備を行います。 ※発泡スチロール内を温めるため:25℃前後
- 生乳の入ったサンプルカップを発泡スチロール内に置きます。 ※発泡スチロール内にサンプルカップを入れてから、生乳を入れても問題ありません。
- 試験紙をサンプルカップにつけ、さらに発泡スチロールの蓋を閉めて、試験を始めます。
- 約5分経過後、発泡スチロールの蓋を開けて、試験紙を取り出し、キットの判定を行います。
試験結果(4〜6℃環境下試験)
判定時間(5〜15分)では、陰性生乳において3本のラインが全て同等の着色で出現しました。判定時には、判定部分の保護カバーが湯気で若干曇っていましたが、判定に支障はありませんでした。
なお、市販のホット用ペットボトル(350mL)にお湯を詰めて使用した場合も同様の結果が得られました。
試験結果(−10℃環境下試験)
判定時間(5〜15分)では、陰性生乳において3本のラインが全て同等の着色で出現しました。判定時には、判定部分の保護カバーが湯気で若干曇っていましたが、判定に支障はありませんでした。
試験結果(−20℃環境下試験)
判定時間(5〜15分)では、陰性生乳において一番上のラインは、うっすら着色する程度で、判定線の目視判断は困難でした。また、発泡スチロール内は20〜25℃であったが、発泡スチロールの底部に置いてあったサンプルカップおよびカップ内の生乳サンプルは冷えたままでした。
まとめ
外気温4〜6℃の低温環境下においては、発泡スチロールなど保温が可能な容器を用いて、容器内を温めた環境下(25℃前後)で行うことで、通常の判定が可能です。
一方、環境温度が−10℃付近であれば、外気温4〜6℃の低温環境下と同様、保温容器を使用することにより、通常の判定は可能です。ただし、−10℃環境下であっても、お湯の入ったマグカップが外気に触れる時間や、発泡スチロールのふたの開閉時間が長ければ長いほど、お湯と発泡スチロールによる保温効果は薄れるおそれがあるので、手早い操作などの注意が必要です。
一方、環境温度が−20℃では、保温容器を使用しても通常の判定は出来ませんでした。試験の間、発泡スチロール内の温度は20〜25℃を示しましたが、サンプルカップおよび生乳サンプルは冷えたままだったので、発泡スチロール底部まで温めることが出来なかったものと考えられます。
気温 | 発泡スチロール内での検査 |
15〜0℃ | 可能 |
0〜-10℃ | 可能 |
-20℃以下 | 不可 |
以上の点にご注意頂き、低外気温環境下での検査を行って下さい。